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屈しない心と赦す心。映画『インビクタス』と『遠い夜明け』

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新しい時代をつくろうとする人たち

リモートワーク続きで、体力が落ちたなあと感じる今日この頃。
「足がいらないんじゃないか」と思うほど、足腰を使っていない毎日を送っています。

そんな中、先週は久々に朝から晩までほぼ立ちっぱなしの3日間を経験し、翌日にぎっくり腰をやってしまいました(´+ω+`)

暖かい季節は滅多に起こらないので油断していました…。
皆さんもコロナ禍での運動不足にお気を付けください。

でですね。腰痛のときって、頭を使うのもシンドいんです。けどずっと寝てるだけも疲れるし…。
なので、ここぞとばかりに、amazon primeで映画をいくつか観てみました!

今回、ご紹介するのはアフリカのアパルトヘイト(人種隔離政策)関連の2作品。
『遠い夜明け』と「インビクタス』です。

『遠い夜明け(Cry Freedom)』は、1970年代のアパルトヘイト下の南アフリカ共和国における実話に基づいた作品です。

1970年といえば、私が生まれた年…。
なのに1987年に映画が公開されたということは、よほどの意志がなければ実現しないのでは…と思います。

ストーリーは、黒人解放活動家スティーヴ・ビコと、南アの有力新聞の白人記者、ドナルド・ウッズとの出会いから始まります。ウッズは風評とは全く違うビコの人柄に触れるにつけ、心を開き、観方をどんどん変化させていくんです。わたしも、ウッズの気持ちはよくわかります。なんせビコ、かっこいいんですよ。

黒人にとって問題なのは白人の差別じゃない。
それよりも、自分たちへの劣等意識だ
、と主張するビコ。

ビコは白人よりも優位に立ちたいわけではなく、平等を追求していたんです。

彼は、黒人が誇りを持って働ける場所を作り、黒人側の意識を変えていこうとするのですが、思わずモーセの「出エジプト」を思い出してしまいました。モーセが奴隷意識からの解放していく様とオーバーラップしませんか?

でも悲しいかな。白人の黒人差別は収まらず。
結局ビコは捕まり、獄中で絶命します。しかも死因はハンガーストライキだと(ありえない…)

ビコの死に不信を抱いたウッズは白人警官から「危険分子」とみなされます。
でも権力に屈することなく、警察の不正を暴き、ビコの死を無駄にしないために決死の覚悟で亡命、ついにビコの本を出版するのでした。

獄中30年でも折れなかった心


続いては「インビクタス(負けざる者たち」です。

こちらは南アが1995年にラグビーワールドカップで優勝したときの実話に基づいた作品です。

反アパルトヘイトの活動家、ネルソン・マンデラが30年近くの投獄から解放され、1994年に初の黒人大統領に就任します。

今でこそラグビーの強豪となった南アチームですが、当時は低迷していたんですね。
でも、国をひとつにするきっかけとして目を付けた大統領と、その想いスプリングボクスの主将、フランソワが応えます。チームをひとつにするリーダーとして、国をひとつにするリーダーとして心が通じ合ったようにみえました。

当時のスプリングボクスは「アパルトヘイトの象徴」だったため、黒人の集会ではユニフォームやチーム名の変更を求めることを決め、マンデラに訴えいます。
けど、マンデラはこういうのです。(セリフ、少し違っているかもしれませんがご了承を)

彼ら(白人)はもはや敵ではない。同じ南アの国民だ。
彼らの宝であるスプリングボクスを取り上げたら、支持は得られず、恐怖の対象になる。
もっと寛大な心で驚かそう。
卑屈な復讐ではなく、我々の新しい国家を築く時だ、と。

マンデラの演説…。感動しました…、まさに赦す心、屈しない心。

そんなこんなで、低迷していたチームは、どんどんワールドカップを勝ち進み、優勝を成し遂げるわけです。
決勝では最強チームのオールブラックスに勝ってしまうのですが、まさに、映画みたいな嘘のような展開です(笑)

ちなみにオールブラックスと日本戦のスコアが映画で登場しましたが、なんと、145対17の128点差。
これは後にも先にも塗り替えられることのない記録なんじゃないでしょうか…(もっと大きな点差もあるのかな?)

ところで、30年近くの獄中生活を支えていた詩が映画でたびたび出てきます。
というか、映画のタイトル、インビクタスがその詩のタイトルでした。

ウィリアム・アーネスト・ヘンリー

インビクタス(Invictus) / ウィリアム・アーネスト・ヘンリー

私を覆う漆黒の夜
鉄格子にひそむ奈落の闇
私はあらゆる神に感謝する
我が魂が征服されぬことを
無惨な状況においてさえ
私はひるみも叫びもしなかった
運命に打ちのめされ
血を流しても
決して屈服はしない
激しい怒りと涙の彼方に
恐ろしい死が浮かび上がる
だが、長きにわたる脅しを受けてなお
私は何ひとつ恐れはしない
門がいかに狭かろうと
いかなる罰に苦しめられようと
私が我が運命の支配者
私が我が魂の指揮官なのだ

『INVICTUS – William Ernest Henley』

Out of the night that covers me,
Black as the Pit from pole to pole,
I thank whatever gods may be
For my unconquerable soul.
In the fell clutch of circumstance
I have not winced nor cried aloud.
Under the bludgeonings of chance
My head is bloody, but unbowed.
Beyond this place of wrath and tears
Looms but the Horror of the shade,
And yet the menace of the years
Finds, and shall find, me unafraid.
It matters not how strait the gate,
How charged with punishments the scroll.
I am the master of my fate:
I am the captain of my soul.

マンデラは、何ものにも自分の心を支配されないし、支配もしない。
自らが魂の指揮官であることを貫き通したんでしょうね。

ワールドカップの決勝戦の前日、主将のフランソワがこんなセリフを言います。

考えていたんだ。30年も狭い監獄に入れられ、それでも人を赦せる心を

誰のせいにするでもない。
運命のせいにするのでもない。

ただただ、自らの心を、考えを、感情を、いかに統制するのか?の勝負だったのではないか。
nTechとも、とても通じるものがあるなと感じる2作品でした。

ラグビー

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